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2024.06.21 BCP策定は医療施設にとってなぜ必要?メリットと策定手順を解説!

BCP策定は医療施設にとってなぜ必要?メリットと策定手順を解説!

災害や緊急事態が発生すると、医療ニーズは急増します。次々と運び込まれる患者を受け入れるには、医療機能の早期復旧が欠かせません。

そのために、医療機関が対策しておくべきなのが復旧計画である「BCP(事業継続計画 Business Continuity Planning)」です。今回は、医療施設におけるBCPの重要性と、効果的に策定するための手順やポイントを解説します。

医療施設のBCPで知っておきたいこと

医療施設は、災害時のあらゆるリスクを想定して、適切な医療を提供できる体制をととのえることが重要です。

BCPが医療施設においてどのような役割をもつのか、医療施設にBCP策定が重要な理由と現状の課題についてみていきましょう。

 

医療施設におけるBCPとは?

医療施設におけるBCPとは、災害や緊急事態が発生した際に、被害を最小限に抑えて事業を継続・復旧するための計画です。

地震・家事・大雨などの災害以外にも、感染症の拡大、システム障害、運営資金の不足など、あらゆるリスクやトラブルを想定して対策を講じなければなりません。患者や医療従事者の安全確保対策、情報システムのバックアップ対策など、重要業務の選定と対応を明確にしておきましょう。

医療施設にBCP策定が重要な理由

医療施設にBCP策定が重要な理由は、災害時に医療機能がストップすると患者の命に関わるからです。災害時には多くの被災者が医療施設に集中し、医療ニーズが急増します。そのため、限られたリソースの中で通常よりも多くの業務を実施する必要があり、あらかじめ非常時の計画をしておくことがマストです。

たとえば、医療品や医療資材を多めに購入して備蓄する、非常時のアクションマニュアルを作成するなど、さまざまな対策が考えられます。また、非被災地からの支援を受けやすくするために、地域間の連携体制をととのえておくことも有効です。

医療施設のBCP義務化の経緯と現状の課題

現在、すべての病院においてBCP策定が義務化しているわけではありません。

災害拠点病院については、2016年の熊本地震を受けて、2018年度末までにBCP策定が義務化されました。しかし、その他の病院におけるBCP策定は任意となっています。

BCP策定済み施設の割合は、災害拠点病院や救命救急センター、周産期母子医療センターにおいて20.1%(厚生労働省「病院の業務継続計画の策定状況について)にとどまっています。

現状では、BCP策定が義務化されていない医療機関も多くあります。しかし、非常時においても適切な医療を提供するための準備体制を整備することは重要です。全ての医療機関がBCPを策定することが望ましいといえるでしょう。

医療施設におけるBCP策定の手順

BCPの重要性を理解したうえで、実際のBCP策定にはどのような手順を踏めば良いのか理解しておきましょう。

前提として、BCP策定の基本的な流れは下記の通りです。

1.事前調査(策定前のチェックリストをもとにヒアリングを行い、現状を把握する)
2.基本方針策定・被害想定・重要業務の優先順位付け・緊急時体制の整備
3.必要備品の用意・災害時対応のマニュアル作成
4.BCPの理解を浸透させるための教育・訓練の実施
5.検証・改善(チェックリストをもとにBCPが機能しているか確認する)

上記に加えて、事業継続力強化計画(中小企業が自社の災害リスク等を認識し、防災・減災対策などを記載するもの)として国から認定を受けると、税制措置や金融支援、補助金の加点などの支援策が受けられる点も覚えておきましょう。

近藤商会でのBCP策定支援の流れと料金の目安は、こちらをご覧ください。

それではここから、BCP策定の流れの中でも、特に医療施設における策定のステップを見ていきましょう。

ステップ1:運用体制の決定

まずはBCPをどのように運用していくのか決めます。以下の項目について検討しましょう。

  • BCPの指揮をとる人を決める(規模が大きい病院では、部門ごとに指揮を担当する)
  • 優先して復旧する業務を決める(職員が出勤できない場合でも、必須の業務を把握する)
  • 設備や人員数をもとに緊急事態で対応可能な患者数を設定しておく

BCPの指揮体制を確立して、優先業務と必須の人員・設備を特定することは、災害時に混乱なく適切な対応ができる前提条件となります。

ステップ2:想定リスクと対策の洗い出し

災害が発生した際のリスクを想定し、被害を最小限に抑えるためにできることを洗い出します。たとえば、以下のような内容を想定しておくと良いでしょう。

  • 非常時には、平常時より多くの医療需要が発生するので、平常時から医療品の在庫がどれくらい必要かを見積り確保する
  • 非常時には、平常時より多くの医療需要が発生するので、業務の優先順位をあらかじめ定めておく
  • 非常時にはスタッフが出勤すべきか迷うので、出勤判断を明確にしたルールを作成しておく
  • 災害発生した場合に、通信障害等が発生するリスクがあるので、平常時からバックアップをとる
  • 電気、ガス、水道などインフラが停止した場合の復旧するまでにかかる時間を予測しておく

医療施設の事業の規模、起こりうる災害によってもリスクは変わりますので、シュミレーションをして分析し、BCPを最適化していきましょう。

ステップ3:行動計画および事前対策を文書化

厚生労働省の「BCPの考え方に基づいた病院災害対応計画作成の手引きを参照し、チェックリスト等各医療施設に合わせた行動計画と事前対策を策定します。

文書にして施設全体に共有しておけば、いざというときに対応できる指針となるでしょう。

ステップ4:継続的改善

ここまでBCP策定ができれば、実施および運用して、定期的に研修や訓練によって点検、経営層による見直しをしていきます。医療施設の特性に合わせてPDCAサイクルを回して、継続的に改善をしていきましょう。

医療施設におけるBCP策定3つのポイント

災害発生時には、通常よりも医療需要が高まることが予想されます。医療施設のBCPについては、以下3つのポイントに気を付けて策定しましょう。

医療需要への対応

地域医療の現場では、他の機関(行政・消防・関連業者など)との連携が不可欠です。

自然災害の発生やパンデミックにより医療需要は高まるため、事前に被害を想定していざというときにすぐに対応できるよう、他の機関との情報共有や役割分担を事前に決めておくことが大切です。

ライフライン対策

医療機能を維持するためには、電気、水道、ガスなどライフラインの確保は欠かせません。ライフラインの供給が遮断された場合の暫定的な対応、外部からの緊急手配、復旧の手順を検討しておきましょう。十分な備蓄や代替手段を準備することが求められます。

指揮命令系統の確立

災害対応においては、指揮命令系統の確立が最優先されます。職員や患者の安全を最優先にして、誰が最高責任者となり、どのような指示系統なのかをあらかじめ決めておかなければなりません。混乱なく適切な対応ができる体制づくりが肝心です。

これらの3点を踏まえてBCP策定を進めることで、医療施設としての災害対応力が大きく向上するでしょう。地域の命を守る使命を果たすため、確実に対策を講じていくことが何より大切です。

まとめ|非常時に適切な医療を提供するために万全のBCP対策を!

非常時に適切な医療を提供するためには、事前の準備が必要不可欠です。ポイントを踏まえてBCPを策定し、いざという時も早期復旧できる体制をととのえておきましょう。

近藤商会では、BCP策定コンサルティングサービスで医療施設の事業継続をサポートしています。お客様の状況に合わせてご支援いたしますので、まずはお気軽にお問い合わせフォームからご相談ください。

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